あたしたちのシャイニンデイ

夏にはしゃぎ過ぎたのかちょっと無力感。

実家に帰って、(その前の日に売り専でお泊まりして)キャンプ行って、高知に行って、飲みに出て、と刺激的な暮らしをしておりましたら、あっという間に2〜3ヶ月が経っていました。

 

キャンプも高知も実家も、月に何回も行くわけではないので、

それらが終わってからは、飲みに行くくらいしか最近用事がない。

 

しかもさ、飲みに行くとしてもさ。

あたしたちってそんなにたらふく飲めるわけじゃない。

胃が悪いから、無駄なアルコールは摂れない。一気なんてもってのほかよ。

 

まったり話しながら飲んでたら、お互いにわけわかんなくなってきて、変な白熱の仕方をしてしまう、みたいな、古き良き(そして悪しき)酒場の会話ができない。

 

やや、別に飲み屋が不満なわけじゃないのよ。

ただやっぱ久しぶりに友達と飲むと、それ以外の人と飲むのが、何か違うことをしているように感じる。

面白くないわけじゃないけど、すっげえドーパミンがドバドバ出るかっていったらそうじゃない。

 

もっとこう、殴り合いとか飲ませ合いとかではなくて、エキサイトしたいよね。

 

でも、あまり知らない人には「ニコニコして飲んでるフツーの人」って思われたい。

 

狩り場を変えようかしら。。

どこかいい狩場(伊勢丹風に言うと「お狩られ場」)ご存知でないですか?

狩場でなくても戦場でも構いません。

 

あたしたちのコスモが真っ赤に燃える!!

 

 

 

あわわ。

今日は「違うだろぉー!」の人について語りたかったんだ。忘れてた。

次回、「違うあたしたち」乞うご期待。

あたしたちの短編?小説「佳代子のゴーヤ」

今朝、出社する時に、とある御宅の前にゴーヤが置いていました。

「どうぞもらってください」と可愛らしい文字で書いてあった手紙を見て、なんだかほっこりするような気持ちになりました。

 

そんなほっこりとは全く関係のない、勢いで書き上げた小説です。

気がついたら一気に1万字も書いていて、全然書き足らないけど、これ以上煮詰めてもしょうがないので、公開しちゃいます。

 

 

〜*〜

 

まるでそんなものには価値がないような世の中!
佳代子は喉元までせり上がったむしゃくしゃを飲み込みながら、ガシガシと葉野菜についた泥を落とした。
でも、そんなこといつ聞けるだろうか。
「生涯を共にするお相手ですので、ちんぽの具合はぜひとも拝見してみたくって。」だなんて。嫁入りする側の質問と言えば、形式ばったことばかりだ。子どもはたくさん欲しいですわね。大変なお仕事されてるんですね。思い返せばそんなこと、質問でも何でもなかった。


いや、聞いてしまえばよかったのだ。そうしたら、この男は、内面にある恐れを表し、慄いたりたじろいだりもしたことだろう。婚約も破談になったかもしれない。良いこと尽くめだ。夫はこんな常識外れな女は御免だと言うし、妻はこんなちんぽの持った男は御免だと言う。それに何の問題があるのだろうか。
気に入らないのはその構造だ、と佳代子は結論付けた。女はちんぽに固執するものではない、そんなことをする女は淫乱だけだ、という傲慢さ。女の見てくれや、生娘であるかどうか、瑣末なことは殊更気にされるのに、ちんぽなんて、まるでついてさえいれば十二分とでも言いたげなこの社会構造こそが問題なのだ。

佳代子は賢かったし、人一倍探究心も強かった。自分の肉体であるのに、未到達の部位があること、その事実が不快であった。そういえば、女の身体の仕組みについて、母親に聞いてみたことは一度もなかった。どんな疑問であれ、それに答える知能を持ち合わせていない女なのである。

「まぁ、かよちゃん。かよちゃんはとっても賢いのね。お母さん、そんなこと考えたこともなかったわ。言われてみれば、不思議なものね。」

と、ころころ笑いながら、雲隠れしてしまう。赤ちゃんが女の人のお股から出てくることは、幼い佳代子にもわかっていた。きっと母はさぞかし狼狽えたであろう。突然、お腹が膨らんだかと思ったら、佳代子が産まれ落ちたのだ。夜中、恐怖からめそめそと泣いていたかもしれないと、気の毒に思って、佳代子は母を憐れんだ。
医者の家系である父ならば詳しいであろうと聞いてみたことがあった。父の反応は母とは真逆であった。父は質問に答えるどころか、激昂したのであった。縮み上がった佳代子は、それ以来、文字通り秘め事としてこのことを外に出すことはなかった。


だがしかし、鉄棒や自転車のサドル、直角に曲がった壁も含めて、佳代子の「生身の女」である証拠を刺激するものはいくらでもあった。しかし、先生や親友にも打ち明けることができなかった。ねぇ、さよちゃん。お股がむずむずすることって、なあい? 父の真っ赤な顔が頭によぎる。


だから佳代子は、自身の身体を冒険することにした。もう誰の頼りにもならない。なんといったって、自分の肉体の一部なのである。かつてのトムソーヤやインディージョーンズのように、未知の洞窟への探検を決意した。洞窟探検には必需品があるものだ。まずはランプ。視覚は何よりの情報通だ。血が出たらやめればいいと思ったし、女の身体は血を流すものだと母を見て知っていたから、不思議と恐怖心はなかった。

消灯した後の闇は深い。佳代子は、廊下からランプを一つ持ってきた。あまり人通りがない所にあるものだから、きっと誰も気がつかないだろうと踏んだのだ。次に、母の手鏡を拝借した。前屈は得意な、身体の柔らかい佳代子であったが、より内側を深く掘り下げるには鏡が必要となることを心得ていた。最近買った普段使いのものではなく、昔使っていたものを選んだ。いつか、かよちゃんにもあげるわね、と言っていたのだから、それが多少繰り上がっただけのことだ。

一番の問題は、掘削が必要になるかもしれないということだ。ぴったりと閉まったそれは、何やら硬いものでなければこじ開けようもないように感じていた。岩壁であればピッケルだけれど、佳代子の小さな身体に使うには大き過ぎたし、鉛筆や箸のような尖ったものでは、命の危険があると佳代子は子供ながらに理解していた。

その昔、同級生の宮本くんが、鉛筆を鼻に入れて、鼻血が止まらず保健室に連れて行ったことを思い出した。「もうちょっと入ると思ったんだけどよォ。」と、目を真っ赤にしながら宮本くんは笑っていた。とても痛かったに違いない。想像は容易についた。自分も同じ目に遭わないように、道具選びは慎重にしなければならない。

とはいえ、丁度良いものがそこかしこにあるわけもなく、とりあえず、初めての冒険は指先で行うことにした。それだったら、後で何か言われても指遊びをしている間に指が滑ってしまったなどと言い訳もしやすいだろう。

ただし、爪先は短く切り揃えた。鼻の奥を爪で引っ掻いたら血が出たこと、鼻の奥が塩辛かったことを思い出したのだ。


まずは消灯後、枕元に灯りの灯したランプを置いた。手鏡で中を覗き込むと、なるほど、女の肉体はこのようになっているのだと、誇らしく思えた。ただ口を窄めているだけの肛門に比べて、複雑怪奇な容貌をしているそれは、自らそのものも複雑で奇妙な生き物であることの証明であった。

冒険家佳代子は、それから何年間もこの洞窟に挑み続けることになる。

〜*〜

例の男は、他の庭師連中から「マサさん」と慕われていた。すらりと伸びた身長に、堀りの深い整った顔立ち。ほんのり異国の香りさえ漂わせる、現代風の男であった。
「よかったら、麦茶でもいかが。」
せせこましく動き回る庭師たちに声をかけながら、佳代子は彼の背中を探していた。
品の良く見える、けれども素朴な麻のワンピースに身を包んだ佳代子は、取り立てて美人ではなかったが、色香のある女だと自負していた。不美人の方が器量がいいものだ、と祖母に教わり、とにかく褒めてくれる祖母と母に甘やかされ、佳代子は増長していった。だが、女一人、生きていくことができない時代に、年頃の娘が他に何を為せたであろうか。生まれ持った顔を変えることもできないのであれば、明るい不美人であった方がいい。
「俺が配っておくからさ、奥さんは中でゆっくりしてなさいよ。」
後ろから乱暴に麦茶の入ったポットを掴まれ、佳代子は思わず身がすくんだ。
「おおお、すまんね。驚かすつもりはなかったんだ。」
にへへ、と少年のような笑みを浮かべて、マサさんは頭を下げてみせた。

佳代子には策士の才能があった。女学校でも、佳代子を悪く言う者はいなかったし、人当たりにだけは気をつけて来たつもりだ。中には当たりの厳しい者もいたが、佳代子は「不思議なことをおっしゃるのね! 貴方といるととっても楽しい! よかったらお友達になってくださらない?」と息巻いた。人間には根っからの悪はいないと、母からは教えられてきたが、真実は違うであろうことを佳代子は理解していた。根っからの悪だろうと、それがなんだというのだろう。世の中は、敵か味方かなのだ。だから佳代子はとにかく味方を多く作った。不良だろうと優等生だろうと関係なく、佳代子を慕った。そして、そういった声を集める毎に、佳代子の得体の知れなさは体積を増していった。
「いつも大変ですわね。私にも何か、お手伝いできることはありませんか?」
「お煮物を拵えたのですけれど、よろしかったらいかが? 北の生まれだから、皆さんのお口に合いますかどうか。。」
「この枝は切ってしまうのでしょう? でしたら、私に切らせてみてくださらない? 一度でいいから、男の子のように木登りで遊んでみたかったの!」
側から見たら、夫以外の男たちと遊ぶふしだらな女に見えるかもしれない。だが佳代子にはそう思わせない狡猾さを併せ持っていた。ある意味事実ではあったのだが、夫と結婚して以来、佳代子は不満を募らせていたから、頬はこけ、顔も青白くしていた。

近所の者たちとも、無理をすればするほど、どこかよそよそしく、なかなか打ち解けることができなかった。


桜田さん! ほら、桜田さんの奥さんだわ!」大きな枝に跨って手を振り、屈託のない笑顔を作る。桜田の奥さんは、世話好きで有名だから、佳代子のことを心配しているようだと噂であった。かえって良い噂を広めるのには好都合ということだ。
「どんな形であれ、佳代子さんが笑顔になって良かったわ。本当は私、心配していたのよ。」

そのまま家に招き入れ、実家から送られてきた茶菓子を振る舞った。
「実は私、こちらに嫁ぎに来て。家を出るのも初めてだったから、不安だったんです。こんな大きなお家に、私なんて分不相応だわ。」
「そんなことないわ。佳代子さんはお家を良く守ってらっしゃるじゃない。」
桜田の家よりもひと回りもふた回りも小さい、この屋敷に閉じ込められて、息が詰まりそう。
「やっぱり、誰かとお話しをしていないと寂しくって。ねぇ、桜田の奥さん。よかったら、私たち、お友達にならない?」
常套手段だった。桜田のお家は数軒先にある。誰が出入りをしようと、知るよしもないのは好都合だ。そして、世話好きの女は総じて、醜い。自分が流した噂でなければ、頑として認めようとせず、そして佳代子のような世間知らずが陰で泣いていることを、心から悦ぶ性質であることを見抜いていた。
「佳代子さん、心細いのはわかるけれど、あまり殿方と仲良くされては良くないわ。」
「あら、そうなの? ごめんなさい、私、お手洗いを借りたいとおっしゃるものだから、何も気にせず、、」
「いえ、いいのよ。お手洗いくらいなら。ただ、いくら表面上は優しくったって、男の方なんて、足の間に脳みそがあるんですもの。何かあってからでは遅いのよ。」
「そんな! でも、そう、そうよね。女学校の同級生で、とても怖い思いをされた方がいたの。詳しくは知らないけれど、私、私そんなことって。ねぇ、桜田さん。どうしたらいいのかしら?」
「そんなこと! 何があっても大きな声で叫ぶのよ! 私がすぐに飛んでいくわ。」
「えぇ、えぇ。ありがとう、桜田さん。。約束よ、約束、してね。」


桜田は、誰か近くの者に助けを求めろとは言わなかった。それどころか、女の汚点は決して口外しないことだと佳代子に言い含める始末であった。

暴漢に襲われ、数軒先の桜田の家まで届くほど、叫び声をあげ続けられるわけも、這って逃げてくるわけにもいくものか。


知ってか知らずか、これで佳代子と桜田は共犯となった。痛い目を見ろと、佳代子を疎んじる桜田と、着々と策を練る佳代子。歪な縁で出来たこの契り、佳代子は決して忘れることはなかった。

 

〜*〜

その日も夫の帰りは遅かった。何やら高そうな赤ワインなど持って、佳代子をベッドに誘った。佳代子もしたたかに酔ってはいたが、それが夫のちんぽで佳代子が満足できる特効薬にはなりえない。粗末なちんぽは、アルコールでいつもより萎んだようにも見えた。
「貴方、好きよ。私、貴方と一緒になれて、良かった。」
ちんぽは煽てないと張り切らないことを知った佳代子は、すがるような声を出して、夫の背中に手を回した。ほんのり膣の中で弾力が増したのを感じると、佳代子は更に続けた。
「あぁ、そんな、大きい、大きいわ。。」
夫はこの言葉に弱かった。背伸びをする子供のように、ちんぽはその熱を増し、内心可笑しくて仕方がなかった。
「佳代子。。」
と呟いたかと思うと、かぷり。佳代子の耳たぶに甘い痛みが走った。

こんなこと、いつどこで覚えてきたのやら。

この時、佳代子を突き動かしたのは、夫に対する支配欲でも、ましてや浮気をされたことへの怒りでもなかった。
男ばかりが快楽を貪ることができることへの、羨望。嫉妬。そして、虚しさ。


女に生まれたばかりに、自分の性は疎んじられ、あたかも存在していないかのように見せねばならない。それなのに、夫を求める良き妻を求められる。

佳代子は、体の奥から突き揺さぶられるこの感情は、飢えだと直感した。これは飢えだ。佳代子の膣が、子宮が、陰唇が叫んだ。頭を揺さぶりながら、必死に助けを求める。このままでは、性欲に殺されてしまう。その時、頭によぎるのは、庭師の中でも一際異彩を放つ、あの男だった。
「佳代子。。」
暗闇に突き落とされる感覚。佳代子は救いを求めた。
「佳代子、どうしたんだ? そんなになって。」
ちくりと、乳首に電流が走った。
「あぁ! 痛くしないで! そんなことされたら、、!」
「そんなことを言って、こんなにも感じているじゃないか。」
挿入が深くなると、佳代子の膣は貪欲にちんぽを吞み込もうとした。
「あぁ! こんなの、こんなのって! 初めて!」
電流がいっとう激しくなり、真っ暗な世界から反転、佳代子は真っ白な世界にふわりと浮かんでいた。

 

果ててしまった。夫の拙いちんぽで、マサさんのちんぽを思い浮かべながら。

その次の日、佳代子の熱はおさまるどころか増す一方であった。いつものように夫を見送ると、玄関先に座ったまま、自然と佳代子の指先は身体の熱をほじくり出そうとしてきた。もうすぐ、庭師たちが来てしまう。そう思えば思うほど、佳代子の中心は熱を持たずにはいられなかった。

二度、三度、四度。指先が攣りそうになって手を放しても、佳代子の身体はなおも戦慄いた。

 

まるで、獣の咆哮。口を開いては、あたりの空気を飲み込み、虚しい呼吸を続ける、飢えた獣。この獣をこの先、どうやって飼い慣らそうか。粟立つ肌が、空気の振動に敏感になり、触れてもいないのに、また絶頂が走る。殺されてしまう! 佳代子は必死に逃げようともがくが、腰が抜けてしまって、毛虫のように身悶えることしかできなかった。
「奥さん! どうしたんですか! 奥さん!」
虚ろになった佳代子の目が捉えたのは、一晩中待ち侘びたマサさんの姿であった。

「いいですか、奥さん。若いからって、あまり無茶を。。」
いつ頃から見られていたのだろうか。佳代子は恥ずかしさのあまり、また気が飛んでしまいそうだった。応接間のソファに横たえられると、心配そうな瞳が、じっとこちらを見ていた。
「いつから、、」
「今来たばかりです。俺、何も見てませんから。」
扉から頭だけ出すと、奥さんは具合が悪いから、と外の連中に声をかけ、また佳代子の元へ戻ってきた。今度は床に座っているのだろう、マサさんの顔が近い。
「どうして、見てないなんて、言うの。」
「だって、そりゃ。何をしていたかくらい、俺にだってわかりますよ。」
顔を真っ赤にして、佳代子の額に手をかけた。
「私、病気なのかもしれないわ。だって、、」
「そんなこと、ないです。」
目を見てキッパリと言い切る真剣な目つき。
「マサさんは優しいのね。軽蔑したでしょう?」
「してませんよ。」
「私、私、このままじゃ。。」
「それ以上言っちゃ、いけませんって。」
宙を探る佳代子の手をそっと握ると、佳代子も安心して握り返した。
「俺も男です。今だって、どうにかなっちまいそうで。でも、絶対にそれはしちゃいけないんです。」
「マサさんは、男らしいのね。」
佳代子はそっと笑うと、瞳から涙が溢れ落ちるのを感じた。耳の中に、雫が滑り落ちる。
「貴方だったから、良かったわ。もし、他の方だったら。。」
口の動きとは裏腹に、佳代子の中では、毒蛇が頭をもたげていた。
「他の連中だったとしても、俺が奥さんを守ります。」
「ねぇ、私を守ってくれるのなら。」
私を守ってくれるのなら、その矛先は、男ではない。佳代子の膣内に巣食う大蛇こそが、佳代子を食い殺そうと目論む悪魔なのだ。


佳代子はゆっくりと身体を起こすと、立ち上がろうと背もたれに手をかける。身体がぐらりと揺れ、マサさんが慌てて抱きかかえる。佳代子は片足を上げ、先ほどまで横たわっていたソファの上に乗せた。
「ちんぽを、ここに入れてくださらない?」

 

〜*〜

 

想像していた以上に、マサさんのちんぽは立派であった。男のちんぽはこういったものか、佳代子は成る程、合点がいった。

立ったままで二回、ソファの上で一回まぐわった後、素面にでも戻ったのか、マサさんは庭先へと出ていった。


達成感。
とうとう、ちんぽを食ってしまった。

この、充実感。
どうして今までこんなこと、誰も教えてくれなかったのか。世の夫婦たちは、みんなこんなことを、生涯延々とやっているのだろうか。佳代子は興奮が冷めない身体をいたわるように、手首を強く噛んだ。佳代子の性欲はもはや、手負いの獣も同然だった。獣だから、噛む。ちろちろと噛み跡の残る手首を舐めると、また甘い電流が走った。

もう、元には戻れない。全裸になって庭に出たら、みんな私を抱いてくれるだろうか? たくさんのちんぽで溺れてみたい。


ついに解放してしまった自分の野生に、堪えきれず失笑が漏れた。足首に丸まっている綿の下着を摘まみ上げると、指先でくるくると弄びながら、佳代子は脱衣所へと歩いていった。


冷たい水が火照った肌に心地よく、綺麗さっぱりと汚れを落とすと、佳代子の肌は一際輝いているようだった。

着替えを持ってくるのを忘れたことに気がついたが、その時には既に全身ずぶ濡れだった。家の中とはいえ、すぐそこにはマサさんがいる。先ほどまでちんぽを咥え込んでおきながら、今更恥じらうのも莫迦らしい気もしたが、それとこれとは話が別のような気がしていた。全裸で廊下に出ると、水で濡れた足が廊下を湿らせた。ぺたりぺたりと音を立て寝室へ戻り、適当に着替えを見繕う。

一階まで降りてやっと、自分がいかにも厭らしい格好をしているような気がした。肌なんて出して、と思い直し、居間で羽織るものを引っ掴んで袖を通す。マサさんは幻滅したのだろうか。最中には何度も可愛いよと囁いてくれたけれど、いなくなるのは一瞬だった。頼りの綱がなくなってしまったように感じて、心細い。つっかけを履き、玄関を出ようという所で、足がすくんだ。

まるで空き巣のような所作で、そろそろと玄関の扉を開けると、庭師たちは昼食に出ようというところだった。マサさんが佳代子を認め、駆け寄ってくる。
「悪い虫は、収まりましたか?」
いつもの、少年の笑みに戻ったマサさんに、安堵を覚えた。
「え、えぇ。おかげさまで。」
「それならよかった。ところで、、」
嫌な予感がした。脅迫でもされるだろうか。身体を求められ犯されるならまだしも、口止め料なんて無心されたら、溜まったものではない。佳代子にとって弱みを握られたこと、弱みを見せたことはこれが初めてであった。
「吹聴されたいのでしたら、どうぞ。」
第六感が警鐘を鳴らし、頭の芯が冷静さを取り戻した。脳髄が鋭く冴え渡る。


莫迦ではありませんから、自分がしたことはわかっています。言い逃れもしません。致したい時に致すのは、確かに不道徳ではあるでしょうけれど、女だからと言うだけで責められる所以はありません。」


早口で捲したてる佳代子を見下ろし、まんまるの目でしばらく見つめた後、ぶっ、ぶはは、と豪快に笑った。「何かの冗談かい?」と、唇だけを動かす。


「ちんぽが欲しかっただけじゃねえか。」
耳打ちをしているのだか、耳を舐めているのだかもわからない距離で、こう続けた。
「女だからと我慢する所以もございませんぜ。」

 

これまでに夫としていたことが、子供のお遊びのようだった。
こちらが優勢に立とうとすれば組み敷かれ、弱みを見せれば、動きを抑えてくる。そのために、佳代子は丁度良い塩梅になるよう常に気を張り続けなければいけなかった。
「見てみろよ、ちんぽ、食ってるぜ。」
馴れ馴れしい口を利いたかと思えば、

「奥さん、これ以上は男娼に頼んでつかぁさい。」と急に腰を引いてみせる。

マサさんもなかなかに策士であるとは思わなかった。


「私はマサさんだから好いのよ。」
「まさか! 俺が急にいなくなっても構いやしないくせに。」
「そんなことある訳もないでしょう? このちんぽが味わえなくなると寂しいもの。」
「奥さん、知ってるか? 二人でいる時は、何かってえとすぐにちんぽちんぽって。」
「だって好きなのだから仕様がないじゃない。」
「ちんぽか? 俺がか?」
「どっちも、よ!」
マサさんの上に跨り、へそで貝を結んでみせる。

 

堕落してしまったこと、もう後には戻れないことは、薄々感づいていた。この幸福な時間も、長くは持たない。
ただ、それでもよかった。三行半を突きつけられれば、それでもいい。夫の粗末なちんぽに付き合うだけの人生など、真っ平御免であるからだ。


佳代子は、自分の意思で、自分の欲求を、自分の方法で行ってみせる。それはまさしく、全能であった。

 

〜*〜

 

「佳代子、、」
夫が身体を求めなくなり、暫くが経った。夫は夫で、佳代子は佳代子で、他に捌け口があるのだから、その必要性も感じなかった。
「なあに?」
乾かした髪を結いながら、佳代子は鏡に映る自分の姿に見惚れていた。
「俺の佳代子、、」
不倫相手に愛想でも尽かされたのだろうか。粗末なちんぽなのだから、仕様がない。だからといって、その慰めに自分の膣が道具然として扱われるのは辛抱ならなかった。
「どうなさったの? 最近は、触れてもくださらないのに。」
肩にかけられた手を握り返して、そっと胸元に当てる。
「わたくしのことは、もう飽きてしまったのかと。」
「まさか。そんなことあるわけ。。」
いいのよ、と佳代子は頬を膨らませてみせた。
「それが殿方の甲斐性なのでしょう?」
「怒っているのか?」
「怒っても呆れてもいませんわ。事実はただありのままに、受け止めているだけです。」
「やはり怒っているのではないか。」
「怒ってはおりません! ただ、余所の女が靡かない慰めとしての妻など、誰が諸手を上げて歓迎しましょうか?」
沈黙。
「慰めならば他にも女はおります。どうぞ。わたくしからは何も申しませんので。」
佳代子、と更に肩に手を置く夫に腹立たしさが募った。マサさんならばきっと、無理やりにでも抱いてくれるに違いない。
「どうしたのだ? 佳代子。最近はまるで別人のような、、何があった。いや、、」
合点のいった顔。暫くといっても、マサさんに抱かれるようになって半年。夫との情事を気にも止めなくなり、更に半年。次第にお互いの触れ合いがなくなり、完全に無くなってから更に半月ほど経ったであろうか。子はまだかと急かされている手前、そしてマサさんと交われば交わるほど、夫との情事は平行して進めなければならない歯痒さがあった。
「他に男がいるんだな?」
「えぇ、おります。庭師の一人です。精悍な方で、ちんぽもとても好い物をお持ちですよ。貴方がどんな女の膣に入れ込んでるのかは、、」
平手が頬を打った。
「妻に手を上げるものですか!」
「聞き分けのない女には身体で躾けるのが亭主の定めだ!」
「えぇ、わたくしは女よ!貴方だって女のように抱かれたら、いかに自分のちんぽが粗末で不甲斐ないものであるか思い知るはずだわ!」
「まだ言うか!」
平手。平手。平手。口の中が切れたのか、鉄の味が鼻腔を抜けた。
「離婚だ、離婚!」
亀頭のように真っ赤に膨れ上がった顔が、佳代子の胸元を掴み上げ、床に何度と叩きつける。
「殿方はすぐに離婚離婚とおっしゃいますけどね。自分のちんぽがみすぼらしいとお認めになるのね?そのうえで、妻(おんな)を満足させられないから離婚するっておっしゃるのね!俺のモンはそんなモンじゃねえぞ、って組み伏せるくらいしてみなさいな!それもできないなんて、ちんぽも肝っ玉も、なんて小さな男なの!」
もはや絶叫に近かった。このまま殺されるかもしれないと思うと、全身の血がふつふつと沸き立った。


「抱きなさい! 抱いてみせなさい!」
首がきつく締まるのも意に介さず、佳代子は寝間着の釦に手をかけた。
「わたくしは女よ! 躾けられることができるのは、ちんぽ以外にあるものですか!」
首にかけられた手の力が弱まるのを感じると足で夫を押し返し、力尽くで寝間着を脱ぎ捨てる。下着はいつからか、身につけることをしなくなった。洗う手前が増えて仕方ないことと、破れてしまうことも多くなったからだ。
「わたくしはちんぽが欲しいのよ!」
尻餅をついた夫の上に跨り、夫の寝間着から荒々しくちんぽを掴み出す。膣は全く濡れておらず、鈍い痛みはあってもそれが行為の支障になることはなかった。


「ちんぽ! ちんぽ! ちんぽ!」


マサさんとの情事のように、へそで貝を結んでみせると、膣からは蛇口のように潮が溢れ、瞬く間に夫は射精した。そしてその刹那、夫は男の力で佳代子を押し倒し、無我夢中で腰を打ち付けるのであった。

 

凶暴な情事を終え、夫も佳代子も、肩で息をつきながら、気がつけば仲良くベッドの上に横たわっていた。


「ねぇ、なんだか私たち、今の状態がとっても好い関係でいられるのではないかしら?」

 

その翌日、佳代子はいつものようにマサさんとの情事を楽しんだ。普段と違う佳代子の様子に薄々感づいているのか、いつもより優しく、まるで親犬が子犬を慈しむような、心穏やかなひと時であった。
「ねぇ、マサさん。今日はどうしてそんなに優しいの?」
マサさんは、応接間のソファで佳代子を抱きしめた。
「なんだか、奥さんが、傷ついているように見えたから、かな。」
何度となく肌を重ねても、佳代子と呼ぶことはしなかった。マサさんなりの礼儀なのかもしれない。
「マサさん、続きはいつもと違う場所でしてみない?」
マサさんの腕を取り、階段を上がる。そういえば、マサさんは二階に上がろうとはしなかった。いつも必ず、それが例え台所や浴室であっても、一階で行っていたことを思い出した。 

 

寝室の扉を開けると、ベッドに縛り付けられた夫と目が合った。
「あら、貴方。今日はお体の調子が良くないのでしたわね。」
佳代子の唇の端が歪に歪むと、手を取られたまま硬直しているマサさんに向き直った。
「夫が見ている前で、してみたかったのよ。」
佳代子は、マサさんの前に跪き、生まれて初めてちんぽを口にした。直ぐに剛直となり、いつ見ても惚れ惚れするほどのちんぽに、佳代子は高揚を隠そうともしない。

夫は泣いていたかもしれなかったが、その粗末なちんぽからは汁が滴っていた。マサさんの精液が残る膣で、その雫を咥えると、腰を深く下ろした。


夫の射精を佳代子が堪能していると、呆然と見下ろしていたマサさんが、溜息をついた。
「悪いけど、俺は、間男じゃないんだ。そういうのがしたいんだったら、他の男を選んでくれないか。」
佳代子の耳にはその声は届かなかった。正気を無くしたちんぽから膣を離すと、虚ろな目で寝室を後にした。太腿からは、二人の男の精液が滴り落ちている。

 

 

後日、それから一年が経ち、佳代子は夫との屈折した情事を愉しんでいた。離婚の話もいつの間にか息を潜め、初めから何もなかったかのような、ありふれた時間だけが、ゆっくりと夫婦の間を流れていった。

 

いつものように夫を見送った後、ふと視界の端に緑色の物体が映った。まだ珍しいゴーヤが、籠の中に飾られていた。メモ書きのような、手紙のような小さな紙が、所在なさげに佇んでいた。

 

「うちの畑で採れたゴーヤです。よかったら召し上がってください。」

 

今日はマサさんが来る日だ。佳代子は胸の奥がじんわりと暖かくなるのを感じながら、夏の日差しに目を細めた。

あたしたちの褒め言葉

実は、親が癌を患いましてね。

まぁその話はいいんですよ、なんだか、癌だからどうの、とかって視点が持てないし、日本人の死因第1位なわけだし、じゃあ何百年も生き続けて欲しいのか、ってなったらムムム、じゃない?

 

人間ぶって気が動転したりもしたけど、ふと思い返すと、そもそもあたしたちにはそんな権利すらないんじゃないかと思うの。

 

嫌いなのよ。苦手なの、不得手なのよ。

 

「憎くてたまらない」とか「愛情の裏返しからくる反発」というのともまた違う気がして、

なんだか、親といると自分が悪いことをしているような気にさせられるのよね。

親が恥ずかしい、とも思う。

 

好きかって聞かれたら、親に対して好き嫌いの感情を持てない、って答えるわ。

「言ってもいいなら嫌い」だけど、世の中そうじゃないでしょ。

 

・・この間「世の親御さんたちへ」っていう、スピってるツイートを見かけたけど、多分私はそこまで「世の親御さん」には固執できない。

気に入らないなら、自分を産んだ親を殴って痛めつければいいのよ。

それができなかったら、いくら泣き喚こうと、「世の親御さん」たちが是正してくれても、負けは負けなのよ。

 

 

まぁそんなわけで、涙を流すくらい実家に帰るのが嫌だったのね。

で、帰省する前日に飲みに行って、その足で売り専に行ったのよ。

まぁ「とか言っちゃって、飲むだけ飲んで帰ればいいじゃん」って気分だったんだけど。

 

なんか平日だったのもあって、男の子が全然いなくて。

おしぼり渡してくれた男の子が、多分マネージャーみたいな立ち位置なのかな?と思って、まぁこの子にしましょ、と。

 

したらさ、一所懸命あたしたちを口説いてくれて(口説く=指名して欲しいってアピールしてくれることね。)

営業でそこまでしてくれるなら頭が良すぎるし、もしかしてこれってほんとに好きなんじゃない???????って思って。

もちろん、そんなわけないのは知ってるんだけど、とはいえでいい子なんじゃないかなって思って、そのまま指名。

 

んまー良いこと良いこと。内容がいい。

 

まぁそれでまんまと好きになってしまったわけなんだけどさ。

(っていうと心配されるけど、貢ぐほど財力あるわけじゃないし、迷惑かけるようなことするタイプじゃないから、誰も困らないデショ)

 

で、あたしたちが指名した月でちょうど、お店のナンバーワンになったらしい。

 

 

ふーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。

 

 

ややや、別に全然、独占欲とかでは全然ないのよ。

俺のおかげで一位が取れたんだぜ、とかも全然ない。

 

ただなんかなー。

売り専で働いてるんだよな、っていうのがちょっとズドン!とお腹に落ちた。

 

というのもね。あたしたちって元々売り専じゃない?

おおっぴらに言うことじゃないから「売り専だったんですか?」って聞かれでもしない限りわざわざ説明しないけど。

 

当時、自分が売り専だった頃に、怖い目にあったり危険なことをしたり、危うかったのね。

ただでさえ際限なくすげー飲んで店でひっくり返ったりしてたのにさ。

 

売り専ってキモいおっさんたちとベロチューしてケツ掘られるんでしょ?みたいな言い方をみんなするけど、ぶっちゃけ、良い意味でも悪い意味でもそうじゃない人がいるからね。

 

もちろん、あたしたちはお姫様だったから、とってもいい思いをたくさんしました。

マッサージしてもらったり、フェラチオがめちゃくちゃ上手くて普通に「もっとしてもっとして!」って2回3回逝ったり、モロタイプだったり、辞めた後も何年もよくしてくれたり。

フェラチオってめちゃくちゃ気持ちいいと快感を通り越してフワ〜〜って眠くなるからね。

 

もちろん逆にけっこう辛いこともあって。

プライベートな空間に、大人と子ども(18歳以上だけど)が一緒にいたら、そこに力関係がないって言ったら嘘になるでしょう。

 

払う側からしたら、2万3万なんて(高額だけど)あとでどうにでもなるじゃない?

でも受け取る側からしたら「対価として提供できるもの」の判断基準なんてすぐに鈍くなっていくわけでさ。

 

恋愛工学で近しい物言いをするみたいだけど「君みたいなブスとは、ここまでしてくれないとする気にならないな。じゃあいいよ、お金も払うし、帰っていいから。あーあ。君はトコトコついてきてお金だけもらって帰るだけってことになるけどさ」みたいに言われたら、やらないで帰るわけにもいかなくなるものなのよ。

 

「対価として提供できるもの」の判断基準と貨幣価値が釣り合ってきた今なら思うけど、あの時私は帰っても良かったと思う。

(結局おかしなことはなんにもなかったんだけどね。)

 

嫌じゃん。

嫌がることはさせちゃいけないでしょ。

 

いくらお金を払っても、心臓を差し出してくれても、

「嫌なことをさせて満足する人」なんて、そんな人が日の当たるところで生きてる方がおかしいでしょ。

 

まぁそれにまつわるビックリエピソードは、酒の席に取っておくとして、なんかこう、今は時代が違うかもしれないけど「あの世界にいるんだ」って思うと、なんだか複雑な気分。

 

自分だって今じゃキモいおじさんなのに、都合のいい考えなんだけど。

 

それでもあたしたちは、酷い目にはあわないで「なんかキモいおじさんとベロチューしてケツ掘られるんでしょ」って世界で生きて欲しいのよ。

たくさん稼いで、いっぱいお金を使って、素敵な人になって、できれば幸せに長生きしてほしい。

で、いつか若い男の子(あわよくば私)に還元してほしい。

 

ホストクラブとか、アイドルの総選挙とか、それに似た気持ちなんじゃないかなーと思うけどね。

 

世の中はアイドルの結婚宣言で騒然としましたわね。

「これからアイドルとしてがんばっていく時期に突然辞めるなんて!俺の金はどうしてくれるんだ!」って思うかもしれないけど、

結婚する相手がまともな人で、その女の子が幸せに生きてくれる方が、その女の子が破滅的な人生を歩むよりよっぽどマシじゃない??

 

あたしたちが加護亜依の幸せをどれだけ待ち望んでいるか、保田圭の懐妊報道をどれだけ祝福しているか、ってことですよ。

 

自分が好きになった男の子には、幸せになってほしいのよ。

 

 

 

だから、そういうことなのかもね。

親のことも、幸せになって欲しいから、そうできない自分(物理的にも精神的にも。)を思い知ると、面目がない気分になるのかもね。

あたしたちの規範的な幸せ

東京レインボープライドに行ってきました。

結局、毎年ああでもないこうでもないって言うけど「一年に一度のLGBTのお祭り」っていう認識が、誰も傷つけなくていいんじゃないかしらね。

 

と、いうわけで今回はLGBTがらみの話題をば。

 

同性婚と国民の権利』憲法学者・木村草太さんは指摘する。「本当に困っていることを、きちんと言えばいい」

 http://www.huffingtonpost.jp/2017/04/27/kimura-sota-same-sex-marriage-_n_16285450.html?ncid=engmodushpmg00000006

 

あたしたちは結婚する見込みも資質もないし、逆に結婚してる人たち個人個人に対して、何も思うところはない(むしろ祝福すらするわ。)んだけど、

結局、結婚に関わる制度っていうのは「繁殖お得キャンペーン」でしかなくて、 そんなものに対してロマンとか思想とか、色んなものを詰め込み過ぎじゃない?

 

同性間の結婚を認めますか?みたいなバカみたいなアンケートだって

「ヨシコさんを僕にくださいっ!(土下座)」

「許さん、お前なんぞとの結婚は認めんぞっ!(ちゃぶ台ひっくり返す)」

みたいな茶番を、世の中の人たちが今の時代までやり続けてるから、それが尾を引いているのでしょ?

 

大人が自分の人生をどう決めようが本人の勝手なのではなくって?

ヨシコさんはお父さんの所有物ではないし、もしも結婚相手を否定するなら、その人を選んだヨシコさんに言うべきだし、もっと言えば、そんなまともな男も品定めできないようなお父さん自身の教育方針を反省するべきよね。

 

大学生が就活して、内定とった時に「息子さんは弊社で面倒を見ます」って人事部長が頭下げに来るようなものだわ。

 

そういう、固まった粘土みたいなのにツルハシを振るって、結婚は神話でもおとぎ話でも与太話でもない、現実の人間同士が行う契約であるという風にしていかなきゃいけないんだわね、って思ったわけです。

 

所詮イメージの問題っていうけど、そのイメージが覆らないと形ばかりの制度になるわけじゃない。

もちろん、法制化されてから一般的なイメージが変わっていく例もあるけれどさ。

 

きっと、ルールとか法律とかじゃなくて、イメージって意外と大事なのよ、っていうのも、大きいのよね。

あたしたち自身が「素敵な人」でいるようにつとめれば、「あの人は素敵な人だから、ゲイである人も素敵な人に違いない」とか「あの人は素敵だから、30代独身彼氏いない歴10年のネコも素敵に違いない」とか、思ってくれるわけよね。

(この素敵というのはなにも、お利口さんというわけではなくてね。)

 

学生の頃、私がいた高校は治安が悪いことで有名で、空から煙草が降ってくるようなところがあったんだけど。

「悪いことをしたら、全校生徒全員に迷惑がかかる」って教えられてきたのね。

でもそれって「他人とちゃんと向き合って、気に入らないことは何が気に入らないのかを言いなさい。知らないことは知らないと言って、知りたければ教えてもらいなさい。嫌なことをされたら、嫌だと言いなさい。そう言える素直な人は素敵だから、素敵な人になりなさい。 」って言われて育てていたら、反発なんかしなかったと思うのよね。

 

悪い人っていうのは、どんな属性の人にだっているのよ。

お祭り騒ぎに乗じて、下着一枚で練り歩くような人もいれば、同性愛者の殺人鬼もいる。万引きをする人がいたり、不倫をして他人の家庭を壊す人もいるのよ。

 

でも、そんなことでいちいち「ゲイだというだけで誤解される」と反応することは、息苦しいだけで、意味を持たないのではないかしら。

(あ、でも参加者にルールができたらしくて、あまりにも肌を露出する格好は控えるように、ということになったみたいよ)

 

仮に、あたしたちが誰か他人と触れ合う時に、

老人だから、妊婦だから、障害者だから、女子高生だから、朝鮮人だから、韓国人だから、と誤解(レッテル貼り)をして接するわけじゃないじゃない。

だとすれば、誤解を受けることの何が怖いのかしら。

 

「私は他人にレッテル貼りして、偏見の目で見る生き物です」というのも結構だけど、それはあなた個人の人格がサイテーなだけで、サイテーな人たちと一緒に生きる必要なんかないのよ。

 

同じように、誤解されると感じることがあるなら、誤解されて不愉快な思いをするのなら、

相手の鼻先に指をつきつけて「殺すぞ」というだけで済むことなのよ?

 

それができなくて「私は平穏に過ごしたいから、クローゼットでいる。誤解なんてされたくない。」というのなら、それはあなたがあなたの責任で犠牲者となる(犠牲者の顔をする)選択をしたわけで、自分も同じように苦しい思いをしてるから他人にも口を噤んで欲しいというのは、おかしな話よね。口を噤むべきは、声を上げる側ではなく、口を噤むことを良しとした側よ。

 

だってあたしたち、モテないからってタチに転向したりしないもの!!

王子様を待つ豚でいたほうが全然マシ!

 

選択ができるということは、とても素敵なことなのよ。

昔の人たちは、その選択もできなかった。

あたしは生まれることもできなかった!!(スカイハイ)

 

まぁ、そんなことは言っても、あたしたちはここ最近、たっくさんたっっくさんしんどいめにあって。

ぶっちゃけ同性婚とか雲の上の話(注釈。見込みも資質もないため)をしているわけではないんですがね。

 

自分が悪いところも多分にあるけど、事故に遭わないように外に出ていくことは難しいんだもの。

 

規範的な幸せを探して、あたしたちにもその権利や可能性があると思って、2016年はがんばってきたけど、なんかもう、無理して砂噛んでまで、幸せでありたくないな、って思うようになったの。

 

死ななければ不幸でもいいのよ。

どちらにせよ、選択肢があったうえで選べるということは、素晴らしいことよね。

癒されたいあたしたち

シンデレラのわけわかんない小話がトップにあってもしかたないので、無理くり更新。

 

もうほんとスケベ欲も暴食欲もない、まっさらなあたしたちです。

睡眠欲は春ということもあり、多めにあるんですが、そんなことよりも癒されたいわ。

 

男の子が「一緒に寝よー!」って甘えてきて、ハグして寝たりさ。。

「ご飯作るー?僕オムライス!」って甘えてきてさ。。

はいって腕を広げると胸に飛び込んできたりさ。。

 

癒やしだよ。。戦いは数だよアニキ!だし、あたしたちに必要なのは癒やしよ。

 

スケベなことは何もしたくない!嘘!ちょっとだけしたい!

おちんちん揉んでムクムクしてきたところを眺めたい!おちんぽ、だあいすき!

あたしたちのシンデレラを書いて

シンデレラという映画を(テレビで)見ました。

なんか、あたしたちの中ではシンデレラって「姉の踵を切り落としたお姫様」のイメージが強すぎて、そのイメージをアウトプットしたい!と思いましてね。

ちょうど時間も多くあるので、実際に短編(1万字近いですが)として書いてみた次第です。

 

漫然と、なにか物語が書きたいと思ってて、出来の良し悪しとかディズニー映画のシンデレラ像ぶち壊しとかはさておき、あたしたちなりの解釈でシンデレラという物語を書いてみたわけです。

 

大筋としては、wikipediaあたりで知恵をつけて書いてみたんですが、

まぁ、お母さんと死別して、お父さんとも死別して、その再婚相手の継母と、血の繋がらない姉に虐げられ、お城のパーティに忍び込み、王子様に見初められ、ガラスの靴を落とし、見つけてもらうわけなんですよね。

 

そこで、あたしたちのシンデレラでは、お母様が非常に病弱であったと設定に入れました。死因自体は、当時の流行り病ということにして、あまり近寄ってはいけないもの、としました。

父親は善意と愛情から、病を持つ母親に近づけたくない一心と、強く生きて欲しい願いを愛娘に託すわけですが、ここで娘のシンデレラは、自分自身に強烈な暗示(呪い)をかけてしまうわけです。

つまり、母親が死んだ直接の原因は自分で、臍の緒から母親の養分を吸い尽くしたばっかりに、母親を殺してしまったと思い込んだわけです。

 

そして父親も死にましたが、母親ほどの強烈なイメージは持ちません。あっさりとその死を受け入れられたのは、自分は他人の養分を吸って生き長らえる化け物なのではないかという不安が、既にシンデレラを蝕んでいたからです。

それよりも、父親に再婚相手がいたことに驚き、おそらく当時としては珍しくない再婚ということも「恥知らず」だと糾弾します。なぜなら、自分は母親の死から逃れられず、家からも逃げられず、荊のトゲに全身を引き裂かれているのに、父親がその責め苦から逃げたことを恥だと思っているのですね。

 

年頃になり、私はもうお嬢様ではないのだから、と周りを突き放すようになります。する必要のない農作業や家事をし、男に混じって薪割りをすることで、自分一人で生きていく決心をするのです。

父親も喪い、天涯孤独の身になったシンデレラは、母親を亡くした責め苦により、孤独に生きる覚悟を決めます。

 

でもそこに現れたのは、父親の再婚相手である継母と姉たちです。

継母は「私たちのことを無理に家族と思う必要はない」と言いますが、シンデレラと離れて暮らそうとはしません。天涯孤独に生きるシンデレラを思ってのことですが、シンデレラはそれらをはねつけます。

二人の姉も、家族として接するようにしますが、容姿がシンデレラよりも劣っており、都会風の佇まいから「売春婦のよう」だとシンデレラに一蹴されます。上の姉に至っては、なにげなく声をかけたことがシンデレラの逆鱗に触れ、玄関先に追い出され、熱いバターを頭からかけられます。シンデレラにとって、パンにバターをつけるかつけないかは瑣末な問題でしたが、継母たちのすることなすことがいちいちと気に食わないのでした。

 

シンデレラは父親の商売を継ぎ、畑仕事と並行して、社長業(のようなもの)をするようになります。とはいえ、事業を大きくすることも考えておらず、社員と自分の食い扶持を確保するためにやっているだけで、商売はさほど大きく動きません。ダンスパーティーでも、ちょっと顔見知りとお喋りをしたくらいで済んでしまう程度のもので、それよりもシンデレラは「男のように働けば、女の私なんてすぐに病んでしまうだろう」と考えます。ですから、女だてらに男として生きることに対して、特別な思いはありません。ただ、自分の身を粉にしたいだけなのです。(遅かれ早かれ、会社は潰れてしまうでしょう。)

 

シンデレラは、お城に招かれるまでになった自分の商売人としての立ち位置にも苦悩をします。母親を殺した罪をあがなうだけでやっている仕事が、シンデレラに地位と安定をもたらしたのです。これではシンデレラは不幸にはなれません。

お城で王子様と初対面を果たしますが、いけすかない優男だけど、悪くないかもな、程度に受け入れます。

そこでもまた、シンデレラにとって嬉しくない誤算が生まれます。この男とだったら、自分の人生を楽しく生きられるようになるかもしれない、と思った男が、この国の王子だったのです。シンデレラは苦悩します。幸せへの階段を上がっていくことに恐怖したのです。シンデレラにとって、自分は生き血を啜る化け物だという認識は、冗談でもなんでもなく、ましてや他の女だって(継母だって、姉たちだって、町の娼婦だって)シンデレラにとっては当たり前のことなのです。

 

もう時間だわ、とシンデレラは言いました。夢のような時間はもう終わり、魔法が解けた私は、また呪いの生活に戻るのよ、と自分を律します。

ガラスのように美しく繊細で、それでも自分が憎くてたまらないシンデレラを、王子は愛し、そのうえで「そんな女は愛せない」と言い放ちます。それは、王子としては、お願い事のようなものでした。「自分を蔑まずに、自信を持って生きて欲しい、僕は貴女のことが好きなのだから」その願いはシンデレラには届きません。

王子様の好意に値しなかった自分は、父親からも愛されなかったと坩堝に陥ります。父親の「お前のことは愛しているが、妻の命を奪ったお前を許すことができない」という幻聴を聞くことになるのです。

朝起きると、シンデレラの体は動かなくなっていました。呪いがシンデレラを蝕み、張りつめていた緊張の糸が王子によって解かれ、更にまた呪いの責め苦により張られて、ついには糸が切れてしまうのです。

シンデレラはこれまで以上に継母と姉たちをはねつけます。継母と姉たちには、シンデレラの呪いはわかりません。共に生きていきたい、という継母たちからの愛情に共感できないシンデレラは、とうとう「そんなに王子様に嫁入りしたいのなら、踵の骨を折ってガラスの靴が入るようにしたらいいじゃない」とハンマーを持ち出し、下の姉に暴行を加えようとするシーンで物語は終わります。

 

続きは、取り急ぎのハッピーエンドとしての終わりです。

継母は、自らの娘に暴行を働こうとするシンデレラを拒絶しますが、それはあくまでも愛に満ち溢れています。ガラスの靴の持ち主はシンデレラなのだから、自分たちの目の前から消えて欲しい、私たちとは築けなかった幸せも、王子様ならきっとできるであろうと、シンデレラを放り出すのです。そこでまたシンデレラは拒絶されたと感じますが、更に上の姉が追い打ちをかけます。「どんなに愛されたいと願っても、自分が心を開かなければ、何も受け入れることができないこと」を諭します。

正しく、希望のある言葉ですが、呪いの責め苦により、シンデレラの心は更に蝕まれていきます。

 

王子と兵士たちが、ガラスの靴の持ち主を探しますが、シンデレラは、靴を履くのを促されるまで動こうとしません。上の姉が履き、下の姉は容姿が醜いことから後回しにされました。踵を壊そうともそうでなくとも、彼女には姫探しに立候補する権利さえもなかったのです。そこで、歪んだ自信を身につけたシンデレラは、兵の中に紛れ込んだ王子を見抜いてこう言います。

「愛せないと言ったのは貴方なのに、なぜ今更になって追いかけるような真似をするの」と、分不相応にも王子に物申したのです。

 

王子は、シンデレラにかけられた呪いの重さに気づきます。彼女は、愛せないと言われた事実にのみ固執し、前後の脈略や、言葉の真意を汲み取っていなかったのです。なので、王子はもう一度、本当に言いたかった言葉を、ゆっくりと確実に、シンデレラに伝えます。それ以上の情報は伝えません。

「僕は君に、好きだと言ったんだ」と。

その事実だけを、何度も繰り返しシンデレラに言い聞かせることで、シンデレラにかけられた呪いはいつか消えることを、王子も、継母たちも、シンデレラ自身も願うのでした。

 

というのが、書きたかったあらましなんですが、なかなかどうして、文章にするとなると難しいものですわね。

 

今思いついた結末です。

 

シンデレラが我が子を身籠もる時に、呪いを産み落とすことに成功するのです。産まれた子も自分も、元気でいられるということは、愛情というものはそもそも、対価により得られたり失ったらするものではなく、自然と湧いて尽きることがないもの。母親の養分を吸い取って産まれた自分が母親を殺したいう認識を改めたのでした。

二次創作「あたしたちのシンデレラ」

母は、素敵な人だった。ように思う。病気がちな母との思い出はあまりにも少ない。日に一度ベッドに近寄ると、優しく、歌うような囁き声で、私の金髪を梳いてくれた。元々、健康な方ではなかったが、私を産んで益々、その儚い命を削っていったのだという。

「エラ、お母様のご迷惑になるから、あまり寝室に行ってはいけないよ。」

「エラ、お前が元気で健やかにいられるのは、お母様が命を分け与えてくれたんだよ。」

「エラ、お母様はその命を懸けて、お前をこの世に産み落としてくれたんだよ。その感謝の心を忘れてはいけないよ。」

反面、父は素敵ではなかったように思う。父の愛情は時に、私の心を蝕み、昏い闇に落とした。
程なくして、母はその命を落とした。父は、私を亡き骸に近寄らせなかった。母は最期まで美しい人だったとは、使用人から伝え聞いた。

それから父は変わってしまった。家にも寄り付かなくなり、商売に執心した。私は数名の使用人たちと共に、思春期を過ごした。彼らからの扱いは、昔と変わらず私を令嬢のように褒めそやしたが、あまり良い気分はしなかった。居心地が悪かったのだ。
「いいのよ、私のことはエラと呼んで。自分のことは自分でするわ。」
炊事、洗濯、野菜の栽培、そして薪割り。私は、町娘と同じように忙しく働くようになった。なぜだろう。その方が気持ちが落ち着くということもあり、また、健康な自分への呪いでもあった。私は私に呪いをかけたのだ。

父が撃たれて死んだ。その訃報は真夜中、突然に訪れた。雨の通り過ぎた夜、庭の草花に月の雫が映えるとても美しい夜だった。
父の死以上に驚かされたのは、父が再婚をしていたことだった。その女性の名前は、何度か父からも聞いていた名前だった。いい人なんだよ、と父は言っていた。
そういえば、母が亡くなる前は、母の話題が多く、亡くなってからは商売の話が多かった。不器用で孤独な男だったのだと、今なら思えた。

父の再婚相手は、二人の娘を連れて我が家に訪れた。都会の家を売り、幾許かの資金を持ち、この町に越してきたのだ。継母は、昏い瞳をその場だけ輝かせてニコリと笑った。
「はじめましてでこんなことになってしまってごめんなさいね。今日から貴女の家族だと言っても、疎ましいと思うでしょうけれど。」継母はこう付け加えた。
「私たちのことを無理に家族だと思って接する必要はないのよ。ただ、貴女と同じ家で暮らす他人だと思っていて頂戴。」
我が家には似つかわしくない、豪奢な家具を廊下の真ん中に置かせて、継母と姉たちは騒々しく言い合っていた。やれ、どこの部屋に誰が入るのか、旦那様の部屋は空けておくのか、もっと家具を売ってもよかったのではないか、この箪笥を部屋に入れるには一度扉を外さないと、エトセトラ、エトセトラ。
「感じの悪い人たちなんですね。」
ぎょっとした顔を見せた継母と姉たちを見つめて、私は続けた。
「こんなの、強盗みたいなものではありません? お会いしたこともないのに、いきなり家族だなんだと。住み慣れた家を追い出されて、さぞ辛い思いをされているのでしょうね。そうでないと可笑しいわ。こんな厚顔無恥な真似ができるなんて、後ろ指差されても仕様がありませんわね。」
客間に顔を出した使用人が、息を呑む音が聞こえた。
「いいでしょう。恥知らずな父なら、継母もその連れ子の貴女たちも恥知らずなのでしょう。この家の客人として迎え入れましょう。その代わり、この家の使用人たちには暇を出します。タダ飯喰らいが増えるんだもの、使用人を残すだけのお金は残ってないもので。私は自分のことは自分でやります。貴女たちも、同じようになさってください。もちろん、客人として迎え入れますよ。でも、おわかりですか? 貴女方は客人でしかないということ。」
「タダ飯喰らいとは失礼ね、お母様は、この町で商売をするつもりなのよ。都会の風を、この田舎町に吹かせてやれば、お金なんて困らないわ。」
口火を切ったのは、二人目の姉だった。
「あら、そうですか。私も父の跡は継ぎますから、商売の心配はご無用よ。都会の風と仰るけれど、そのドレスはこの町では娼婦にしか売れないのではなくて? 商売女同士、仲良くやってくださいましね。」
私は母の部屋に床を移した。田畑が見渡せる窓には、柔らかい陽射しが注ぐ。この部屋だけは、絶対に犯されるわけにはいかないのだ。


継母と姉たちが、カチャカチャと茶器を鳴らす脇で、私は乾いたパンを咥えながら、竃に火を拵えていた。
「この紅茶、美味しいわね。」上の姉が、福々しい顔を綻ばせた。
「そうでしょう? この間、お母様と一緒に買い付けに行っていたの。とてもこの町では手に入らない高級品よ。」今度は下の姉。
継母はばつの悪そうな顔で、私にバターを勧めた。
「いえ、結構です。ご存知でないかもしれませんが、パンは噛み締めればパン本来の甘みが口の中に広がって、麦のとても良い香りがするんですよ。」
そうね、私も明日はそうしてみるわ、と漏らし、継母はその日一日、口を開くことはなかった。


「シンデレラ、顔に煤がついてるわ。」
そう言い終わる前に、上の姉が、ハンケチーフで私の顔を拭った。ざらざらとした酷い感覚。犬に舐められているような気分だ。
「男の子のような格好はなさらないで、恥ずかしいわ。」
シンデレラ? なんと言ったの?
「えぇ、ありがとうお姉様。私もお姉様たちのように美しく取り繕いたいわ。都会の化粧は町の娼婦たちにはさぞかし人気なのでしょうね。ところで、シンデレラって?」
燃え尽きた灰のエラ。姉の答えよりも早く、脳が正解を導き出した。母を焼いた灰を被り、父を焼いた灰を被り、田舎町で竃と格闘しているような燃えカスのようなエラ。私が見ていないところで、そんな侮蔑を受けていたとは。
「シンダーエラと仰ったのね? 灰まみれでごめんなさいね。でも、私が灰に塗れないと貴女たちは凍えてベッドから出られないでしょう? ベッドから出ることなく、その息を引き取った女性の話はご存知かしら? 私はその女性を燃やした灰を被って生きてきたのよ。何を今更、竃の煤が顔についたくらいで。」
この女は敵だ。胸の底から、頭の神経一本一本にまで、血が巡るのを感じた。この女を決して許さない。私を嘲笑い、母を嘲笑い、父の灰の上でぬくぬくと生きてきたこんな女。人の温もりなどわからないよう、滅茶苦茶にしてやりたい。
「お姉様は美しい顔が汚れないように、お湯でも浴びて来たら良いのではなくって? 町の下水はこの季節、快適なくらい暖かいから早く行かないと仕事を終えた娼婦たちと取り合いになってしまいますわ。」
気がついた時には、姉の腕を掴んでいた。身をよじって抵抗したが、畑仕事で鍛えられたこの体に勝てるものでは決してない。ばん、と玄関扉を開けると、初春のまだ冷たい風が家の中に侵入してきた。この風は貴女と同じ。温もりの残るこの家を凍らせる、冬の残した冷たい風。
「やめて、エラ!」姉がやっとの思いで声を発した時には、私は内鍵から手を放していた。寝間着姿で屋外に放り出されたらさぞ寒かろう。私はその足でキッチンに向かい、パンを一切れ、口に放り込んだ。フライパンにバターをぽんと入れて、竃の火であたためる。バターの溶ける良い香りがして、腹の虫がぐぅと獲物を欲しがった。一度走り出した欲望は止まらない。フライパンを手に持ち、玄関まで歩き、そして、扉を開けると座り込んだ姉の姿があった。頭から熱いバターを浴びせる。
「お姉様、良い香りがするわ。大好きなバターの香りよ。」


城で開催されるダンスパーティーの誘いが舞い込んで来た。能天気な姉たちは、朝から夜までああでもないこうでもない、とドレスを引っ張り出しては、やんや騒いでいる。朝は畑仕事をして、昼は父の残した商売の切り盛りをして、やっとこの時間なのに。
「貴女も行くわよね? エラ。」と、下の姉。
「シンデレラは行かないわ。」と、私。
「エラは働き者だから、貴女たちとは違って、そんな浮いた場所へは行かないのよ。貴女たちも、年頃だからってはしゃいでばかりで。。」
「お姉様たちは行ったら良いのではなくって? ひょっとしたら素敵な殿方と出会える機会かも。」
男に嫁ぐことしか、能のない女。男たちに股を開き、暴虐を乞い、暴力に蝕まれる女。
「そ、そうよね。でも、よかったらエラ。このドレスを着て一緒に行ってくれないかしら?」
上の姉が、趣味の悪いドレスを私の体に当てがおうとして、私が一歩後ずさる。
「結構よ、ありがとうお姉様。」
とてもではないけれど、莫迦みたいな格好で、莫迦みたいな姉たちと、莫迦みたいな乱痴気騒ぎなんて御免だ。私は、この町の商人の一人として、ダンスパーティーに招かれているのだ。チラシのようにばら撒かれた招待状ではなく、会社の名前と、社長としての肩書きと、そして何より、私自身に宛てられた招待状が手元にある。

継母と姉たちはダンスパーティーに出かけた。私は職場に向かい、そこで出迎えの商売仲間を待った。
「素敵なお召し物ですね。」出迎えの男が、汚い息とおべっかを吐いた。
「ありがとう、母の形見なの。」母のドレスを着てみて、意外にも母は瘦せぎすではなかったことを知った。然程手直しもなく、ぴたりと私の体に収まった。
「履物も素敵です。」
これは母の形見というわけにはいかなかった。知り合いの職人に作らせた、透明なガラスの飾りがあしらわれた靴。
「そうでしょう? ぴったり私の足に合うサイズにしてくれたの。」
くるりと回って見せる足は軽やかだ。
馬車に乗せられ、ダンスパーティーが催される城に向かう。
まるでこの馬車はカボチャ。馬はネズミ、従者であるこの男たちは、さしずめトカゲといったところだろう。
では、私はなんなのだろう。母の形見を身に纏い、ガラスの靴を履いたシンデレラ。両親を焼いた灰に塗れた、煤だらけの女。男に混ざって畑仕事をして、商売相手に歯を剥き出す、女とは程遠い生き物。私はこれまで何のために生きてきたのだろう。女は男の仕事をしてはいけない、というのは、女がか弱いからだと思っていた。毎日毎日、身を粉にして働いても私の体は、疲れることも、弱ることも知らない。ただ毎日、打ちのめされ、謗られても、一晩ぐっすり床に入ると、瞬く間に元気を取り戻してしまう。

『エラ、お前が元気で健やかにいられるのは、お母様が命を分け与えてくれたんだよ。』

私の体に満ち溢れる元気は、母から賜ったものである。これだけの体力を分け与えれば、命を燃やし尽くしてしまっても、致し方がないのかもしれない。


ダンスパーティーでは、着飾った娘たちが、同じように着飾った紳士たちと踊っている。
私は商売の話を済ませたら、早々に立ち去ろうと考えていた。
「やぁ。」
やぁ? 誰だったろうか。どこかで見たことがあるような、ないような。
「君も、踊りにきたのかな?」
ない。恐らく初対面だ。初対面の女に対して、何様であろうか。
「はじめまして。踊りに来たわけでは、、いえ、そうです、踊りに来ました。」
女が男に混ざって働くことを、世間を良しとはしない。ともかくここでの仕事は終えたのだ。適当に話を合わせて帰ればいいだろう。
「そうか、僕も久々に踊って疲れてしまってね。よかったら、少し話さないか?」
よくよく見ると、背も高くていい男だ。どことなく父に似ているが、同じ男なのだから父と似ていても不思議ではないだろう。
「えぇ、もちろん。」

その男は、話をすればするほど聡明な男であった。いけ好かなさも思わせる優男ではあったが、どこか間延びした話し方が、張りつめていた気持ちを揺るがせる。それは私に、顔の綻びに気づくたび、きつく唇を結ばせた。
「君はとても面白い人だね。見ていて飽きないよ。」
「僕をどう見えているかわからないけど、僕は紳士だよ。少なくとも、そうありたいと思ってる。」
「聡明な人だから、きっと君の夫となる人は肩身が狭いだろうな。賢い妻は、男をみじめな気持ちにさせるものだよ。」
これだから男は、と笑いながらも、少なくとも悪い気持ちはしなかった。
「よかったら、父と会ってみてくれないかな? 父もこのパーティに来ているんだ。」
女を父親に合わせるということは。
「えぇ、もちろん。」
少なくとも悪い気持ちはしない男と、その父親。初めての感覚が連続して、まるで熱に浮かされたように、男に促されるまま城の廊下を歩いた。途中、継母とばたりと会った。継母は私たちを見ると、顔を強張らせた。動揺するに違いない。ここにいないはずの女の姿が、それも、見知らぬ男について歩く私の姿であれば尚のこと、厄介者がいなくなって清々するだろうか。
ごきげんよう。」
声をかけてみた。自分でも、唇の端が引き攣るのがわかる。
ごきげんよう、それと。。」
継母が男に視線を移すと、男は、知り合いか、と私に耳打ちした。私は頷きながら
「ごめんなさい、それでは後ほど。」
と背筋を伸ばし、継母もつられてにこりと笑った。笑い顔が不愉快な女である。

男の父親という人は、男には似ても似つかない豪快な男だった。不遜ですらある。
「なるほど、息子が見初めるに相応しい聡明なお嬢様のようだ。」父親はガハガハと笑い、あとは二人で過ごすと良いと言って、どこかに消えていった。二分と会話はしなかったように感じた。
「父は、忙しい人だから。それに、気を使ったんだろう。父なりの形でね。」
結局また、元いた場所に戻って、男としばらくの時間を過ごした。父親と話した時間よりも、往復で歩いた時間の方が長かった。あの父親は、この男以上に、どこかで見たことがある。こんなに近くで顔を合わせたことはないが、どこかで、確かに見覚えのある顔だ。

「お父上って、もしかして。」
「君の名前って。」
二人同時に話を切り出して、お互いに笑い合った。
「そう、父はこの国の王なんだ。」
「私の名前はシンデレラ。貴方には似合わない、灰にまみれた女よ。」
「鍛冶屋の娘さんなのか?」
「いいえ、そういうことではなく、なんというのかしら。人の死の上に立つ、不幸を着たような女なのよ。」
「僕だって、人の死の上に立っている。王族とは、そういうものだからね。」
「私たち、気が合いそうね。でも、だめよね、ごめんなさい。」
王族と知って、胸が早鳴る自分の体が恨めしかった。時計を見上げる素振りをして、
「そろそろ行かないと。」
別れを切り出した。私はこの場には分不相応だ。
「待って。」
「待たないわ。」
「わかった。」
男は肩を落とした。
「君は他の女とは違うと思ったんだ。」
「他の女と同じよ。夜が更けると、生き血を啜る吸血鬼になるの。」
「冗談はよしてくれないか。」
男が強く、私の腕を掴んだ。
「初対面の女に触れることは、無礼ではないかしら? それとも、王族の特権なの?」
「僕は君の皮肉屋なところも好きだよ。皮肉屋なのに、瞳の奥が澄んでいるところももちろん好きだ。」
腕の力は抜けていた。つくづくこの男は、私を脱力させる才能があるらしい。
「君と少し話して思ったんだ。君は、綺麗で繊細なガラスのような人なのに、自分自身で煤汚れた乱暴者だと貶めている。」
それで?と口にすると、王子は手を離した。
「そんな女は、好きになれないって言っているんだ。」
「そんな酷いこと! ガラスだって言ったじゃない!」
「酷いことなのか?」
「酷いことよ!」
だって、だって私は。
「ガラスがそんなに好きなら、この靴と結婚すればいいじゃない!」
男の胸に、ガラスの靴を一足突きつけると、私は無我夢中で走った。逃げたのだ。

『お母様はお前のために死んだんだぞ、エラ。お前だけ幸せになったら、お母様が悲しむじゃないか。ずっとこのベッドで、お母様のように瘦せ細り、死んでいくべきなんじゃないか? それなのにお前ときたら、いくらズタズタに切り裂いてもニヤニヤと生き長らえて。これじゃあ、お父さんだって、死んでも死にきれないぞ。』

頭の中で父の声が繰り返し流れた。その声は、私が涙を流し嗚咽をこらえるほどに、強く響いた。


心が壊れたのだと思った。次の日、私はベッドから起き上がれず、気がついた時には陽が高くあがっていた。
畑に行かないと、と体を起こそうとするが、力が入らない。
そういえば、この部屋があたたかいのは、誰かが暖炉に火をつけたからに違いない。そんなことを思って、また私の体は脱力の海に呑まれた。
コンコン。
ノックの音がして、しばらくの間をもって、カチャカチャと陶器が鳴る音がした。更に、コンコン。ノックが鳴る。
「エラ、入るわね。」
入ってきたのは、継母であった。手には盆に、茶器と朝食が載せられている。
「あまりにも起きて来ないから。」
継母は笑いながら、ベッド脇に朝食の支度を始めた。
「大丈夫? 風邪でも引いたの?」
額に手が添えられ、私はほんの少し、髪を梳いてくれた母の指を思い出した。
「大丈夫よ、なんでもない。ただ、昨日は少し疲れただけ。」
「そ、そうよね。お城に貴女がいたから、ちょっとびっくりしちゃった。それに、王子様と一緒に歩いてるんだもの。」
合点がいった。この女は、憐れな私に侮蔑の視線を送るために仕向けられた刺客だ。もしくは、王子と関係を持つ私に取り入ろうとしているのかもしれない。
「えぇ、そうでしょうね。灰にまみれたエラが打ちひしがれているのは、さぞ気味の良い眺めでしょうね。」
「王子様と、何かあったの?」
側の椅子に座ろうとする継母。
「座らないでッ!」
きん、と空気が鳴り響いた。
「お生憎様、王子様の戯れに弄ばれただけよ。みじめでしょう? これじゃ娼婦だわ。貴女たちのことを笑えない。男と同じように生きてきた私が、ただ王子にふいにされただけで寝込むなんて。良い気持ちでしょう? 形勢逆転だわね。でも貴女たちなんて、王子様に近づけもしなかったんじゃないの? 淫らなドレスで淫らな踊りしかできない、意地汚い母親と、その性根を受け継いだ娘たち! 私は夢なんて決して見ないわ。ただ毎日を誠実に生きて、誠実に死んでいきたいのよ。」
「よしなさい、シンデレラ。」
継母が私の手を握った。触らないでったら!
「私の娘を悪く言うのはやめなさい。」
ぱん、と肉が裂ける音が聞こえて、頬に雷が走った。頬を打たれたのだ。私はじたばたと暴れまわる力も振り出せず、力なく笑い惚けるしかなかった。
「忘れないで。無理に家族だと思って接する必要はないけれど、私にとっては貴女も大切な家族なのよ。わかったら、明日からまたいつもの元気な貴女に戻ってちょうだいね。」


王子様が異例の御触れを出したのを知ったのは、それから二日経ってのことだった。ガラスの靴を履いてダンスパーティーに出席した女性を、生涯の伴侶とするというのだ。
町中、ガラスの靴を履いた女の話で夢中のようだった。二人の姉たちも同じようで、なんとかガラスの靴が手に入らないかと話し込んでいるようだった。
「今から仕立てたって間に合わないわ。」
「ガラスの靴さえ手に入れば、王子様と結婚できるのに。」
常々思っていたことだが、うわ言のように同じことを繰り返す悪癖がある。頭が悪そうに見えるから、やめたほうがいい。
暖炉に薪をくべながら、私はふと思い立った。
「お姉様たち、私、ガラスの靴を持っているんです。一足しかないけれど。。」
私がガラスの靴の持ち主とは言わず、母の形見で長年眠っていたことにした。どうやら姉たちは、私があの時城にいたことも知らないらしい。
「だめね、これじゃ入らないわ。」
当然だ。私の足に合わせてしつらえたのだから、赤の他人の足が同じように入ってしまったら困る。
「私も無理みたい、もうちょっと、踵がどうにか入れば。」
嘘ではあるにしろ、母親の形見だと聞いても、この図太い娘たちは遠慮を知らない。靴が割れたらどうするというのだ。
「そうだ、お姉様。こうするのはいかがかしら。」
私は、工具箱からハンマーを取り出すと、下の姉の踵を持った。
「踵が靴に入らないのなら、踵をなくしてしまえばいいのですわ。」


終わり。
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耳をつんざくような悲鳴が聞こえ、どこからか継母が飛んできた。すんでのところで、姉の踵は破壊されずに済んだようだ。
「エラ! 貴女はなんということを。。」
頬を何度も叩かれ、口の端が切れる感覚が走った。
「ガラスの靴を履いていたのは貴女だわ。どうしてそんなこともわからないの! 貴女は王子様に求婚されているのよ? どうして自分だと胸を張れないの? 私たちは貴女の家族でありたいと思っていたし、努力もしてきた。貴女が倒れた時に、みんなで一所懸命火をつけたのよ。畑にだって行ってきた。煤だらけに、泥だらけになって、エラはいつもこんな大変なことをしてきたんだって、見習わないといけないねって。でも貴女の態度は何? 世の中を斜めに見て、人を見下すことと、お金のことばかり! お金なら、私たちの蓄えがありますよ! 貴女と四人で暮らすことになるから、貴女一人をこの家に住まわせることができないから、向こうの家を売って来たのよ。どうして貴女という人は、他人の愛情を受け入れることができないの!」
後半は、絶叫に近かった。上の姉が続いた。
「エラ、私たちは貴女のことを本当の家族のように思いたいのよ。でも貴女がそれをしてくれなかったら、私たちはいつまでも家族になんてなれない。理想的な家族にも、幸せにもならなくてもいいじゃない。この家で、私たちと一緒に慎ましく生きることはできないの?」

家族会議に水を差したのは呼び鈴だった。
「この家に年頃の娘がいると伝え聞いた。我々はガラスの靴を一足、持っている。この靴を履ける少女が、王子の伴侶となる女性だ。」
武骨な顔の兵士がそう告げると、ズカズカと家に入り込んで来る。数人の兵たちの中に、王子の顔があった。そういうことか。
「それでは、貴女が、どうぞ。」と上の姉を促すと、上の姉は形だけ靴に足をあてがった。
「この靴は私には小さくて、入りませんわ。」
「そのようですね、それでは。」
辺りを見回して、下の姉を通り過ぎた兵士の瞳が私を捉えた。
「その必要はありませんわ。」
狭い客間に立ち並んだ制服姿の兵士の中の一人、王子の前に私は立った。
「私は、貴方には不釣り合いな身の丈の女ですわ。どういった経緯で、ガラスの靴の持ち主探しをしているのか知りませんが、貴方自身がお気づきなのではないですか? 好きになれないと言われた女ですよ。」
王子は、目を丸くしてこちらを見下ろした。そういえば、ガラスの靴を履いていない分、身長に差があるのだ。
「僕は、君に好きだと言ったんだぞ?」