あたしたちのパレード

パレードってさ、普通に生きてたら見ることも歩くこともないよね。
ディズニーランドくらいじゃないのかな?
都心を練り歩いて自分たちの主張を世の中に訴える経験ってさ、ごく一部の人しかできない貴重な経験だよね。
もちろん、デモとかストライキとか負の要素のほうが多そうなものはあるし、本来の意図はそれに近いものなんだろうけど。
よりお祭り騒ぎっぽくなった方が、「あたしたちは今を楽しく生きてる同じ人間です」が強くていいんじゃないかな。
苦しんでますわかってください、も必要だけど、普通に生きるということは苦も楽もあるということだしね。

あたしたちはこれまで、レインボーパレードに参加する下着姿の「配慮のない人」や、下着メーカーや性風俗産業が並ぶ男性同性愛者中心主義、資本主義っぽさが「ダメ」だと思ってた。

でもその「ダメ」がなんでダメだったのか、今ではもうわからなくなってきた。

レズビアンの人たちがボランティアに参加している率が高いことや、性風俗に関さない企業が協賛してることとか、外的な要因もあるけど、「下着姿で踊りたい人がいるんなら私はこんな格好がしたい」と思える人が出てきたからだと思う。

現に、男性同性愛者による過激な衣装は
影をひそめたように感じたし、それよりもゴスっぽいというか、ハロウィンっぽい仮装が多いように感じた。
ハロウィンや仮装だったら、マイノリティであるという主張は意味を持つと思うのね。

あたしたち、本当は化け物なんですけど、あなたたちと一緒に生活してるし、あなたたちは人間至上主義の中で、なぜ化け物は息を潜めないといけないのか。
人間ばかり優先されて、化け物は日の目を見ることもない。それはなぜか。

そういった本来のメッセージが表現されてるように感じてるのよね。

ノンケだってお祭りがあったら楽しくやりたいし、色んな格好したいじゃんね。


カミングアウトをテーマにして、本当の自分を知ってもらいたいと仮面を脱ごうとすればするほど、それは普遍的な肉の塊にしかならないと書いたけど、
みんなが個性を主張すればするほど、それぞれが打ち消し合い、薄まりあって無個性になっていくことって、文明的だなとあたしたちは思う。