あたしたちの褒め言葉
実は、親が癌を患いましてね。
まぁその話はいいんですよ、なんだか、癌だからどうの、とかって視点が持てないし、日本人の死因第1位なわけだし、じゃあ何百年も生き続けて欲しいのか、ってなったらムムム、じゃない?
人間ぶって気が動転したりもしたけど、ふと思い返すと、そもそもあたしたちにはそんな権利すらないんじゃないかと思うの。
嫌いなのよ。苦手なの、不得手なのよ。
「憎くてたまらない」とか「愛情の裏返しからくる反発」というのともまた違う気がして、
なんだか、親といると自分が悪いことをしているような気にさせられるのよね。
親が恥ずかしい、とも思う。
好きかって聞かれたら、親に対して好き嫌いの感情を持てない、って答えるわ。
「言ってもいいなら嫌い」だけど、世の中そうじゃないでしょ。
・・この間「世の親御さんたちへ」っていう、スピってるツイートを見かけたけど、多分私はそこまで「世の親御さん」には固執できない。
気に入らないなら、自分を産んだ親を殴って痛めつければいいのよ。
それができなかったら、いくら泣き喚こうと、「世の親御さん」たちが是正してくれても、負けは負けなのよ。
まぁそんなわけで、涙を流すくらい実家に帰るのが嫌だったのね。
で、帰省する前日に飲みに行って、その足で売り専に行ったのよ。
まぁ「とか言っちゃって、飲むだけ飲んで帰ればいいじゃん」って気分だったんだけど。
なんか平日だったのもあって、男の子が全然いなくて。
おしぼり渡してくれた男の子が、多分マネージャーみたいな立ち位置なのかな?と思って、まぁこの子にしましょ、と。
したらさ、一所懸命あたしたちを口説いてくれて(口説く=指名して欲しいってアピールしてくれることね。)
営業でそこまでしてくれるなら頭が良すぎるし、もしかしてこれってほんとに好きなんじゃない???????って思って。
もちろん、そんなわけないのは知ってるんだけど、とはいえでいい子なんじゃないかなって思って、そのまま指名。
んまー良いこと良いこと。内容がいい。
まぁそれでまんまと好きになってしまったわけなんだけどさ。
(っていうと心配されるけど、貢ぐほど財力あるわけじゃないし、迷惑かけるようなことするタイプじゃないから、誰も困らないデショ)
で、あたしたちが指名した月でちょうど、お店のナンバーワンになったらしい。
ふーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。
ややや、別に全然、独占欲とかでは全然ないのよ。
俺のおかげで一位が取れたんだぜ、とかも全然ない。
ただなんかなー。
売り専で働いてるんだよな、っていうのがちょっとズドン!とお腹に落ちた。
というのもね。あたしたちって元々売り専じゃない?
おおっぴらに言うことじゃないから「売り専だったんですか?」って聞かれでもしない限りわざわざ説明しないけど。
当時、自分が売り専だった頃に、怖い目にあったり危険なことをしたり、危うかったのね。
ただでさえ際限なくすげー飲んで店でひっくり返ったりしてたのにさ。
売り専ってキモいおっさんたちとベロチューしてケツ掘られるんでしょ?みたいな言い方をみんなするけど、ぶっちゃけ、良い意味でも悪い意味でもそうじゃない人がいるからね。
もちろん、あたしたちはお姫様だったから、とってもいい思いをたくさんしました。
マッサージしてもらったり、フェラチオがめちゃくちゃ上手くて普通に「もっとしてもっとして!」って2回3回逝ったり、モロタイプだったり、辞めた後も何年もよくしてくれたり。
フェラチオってめちゃくちゃ気持ちいいと快感を通り越してフワ〜〜って眠くなるからね。
もちろん逆にけっこう辛いこともあって。
プライベートな空間に、大人と子ども(18歳以上だけど)が一緒にいたら、そこに力関係がないって言ったら嘘になるでしょう。
払う側からしたら、2万3万なんて(高額だけど)あとでどうにでもなるじゃない?
でも受け取る側からしたら「対価として提供できるもの」の判断基準なんてすぐに鈍くなっていくわけでさ。
恋愛工学で近しい物言いをするみたいだけど「君みたいなブスとは、ここまでしてくれないとする気にならないな。じゃあいいよ、お金も払うし、帰っていいから。あーあ。君はトコトコついてきてお金だけもらって帰るだけってことになるけどさ」みたいに言われたら、やらないで帰るわけにもいかなくなるものなのよ。
「対価として提供できるもの」の判断基準と貨幣価値が釣り合ってきた今なら思うけど、あの時私は帰っても良かったと思う。
(結局おかしなことはなんにもなかったんだけどね。)
嫌じゃん。
嫌がることはさせちゃいけないでしょ。
いくらお金を払っても、心臓を差し出してくれても、
「嫌なことをさせて満足する人」なんて、そんな人が日の当たるところで生きてる方がおかしいでしょ。
まぁそれにまつわるビックリエピソードは、酒の席に取っておくとして、なんかこう、今は時代が違うかもしれないけど「あの世界にいるんだ」って思うと、なんだか複雑な気分。
自分だって今じゃキモいおじさんなのに、都合のいい考えなんだけど。
それでもあたしたちは、酷い目にはあわないで「なんかキモいおじさんとベロチューしてケツ掘られるんでしょ」って世界で生きて欲しいのよ。
たくさん稼いで、いっぱいお金を使って、素敵な人になって、できれば幸せに長生きしてほしい。
で、いつか若い男の子(あわよくば私)に還元してほしい。
ホストクラブとか、アイドルの総選挙とか、それに似た気持ちなんじゃないかなーと思うけどね。
世の中はアイドルの結婚宣言で騒然としましたわね。
「これからアイドルとしてがんばっていく時期に突然辞めるなんて!俺の金はどうしてくれるんだ!」って思うかもしれないけど、
結婚する相手がまともな人で、その女の子が幸せに生きてくれる方が、その女の子が破滅的な人生を歩むよりよっぽどマシじゃない??
あたしたちが加護亜依の幸せをどれだけ待ち望んでいるか、保田圭の懐妊報道をどれだけ祝福しているか、ってことですよ。
自分が好きになった男の子には、幸せになってほしいのよ。
だから、そういうことなのかもね。
親のことも、幸せになって欲しいから、そうできない自分(物理的にも精神的にも。)を思い知ると、面目がない気分になるのかもね。